
監修者
株式会社篤月
陳 逸翔広告代理店を退職後、早稲田大学大学院入学&卒業。
累計100社以上の日本企業の中国SNSコンサルティング経験を持つ。
自身も5万以上のフォロワーを中国SNSでもつ、第一線のKOLである。
記事のポイント
RED(小紅書)が購買意思決定検索エンジンへと進化
機能訴求よりも生活提案型の共感消費が重要
RED・抖音両方での発信が効率的な戦略
中国ビジネスを展開する際、SNSを活用したマーケティングは今や欠かせない要素です。
特にSNSはトレンド性が重要視されるため、2025年から2026年にかけて、中国市場で特に注目されるSNSはどれなのかを把握することはもはや必須といえます。
本記事では、最新の動向を踏まえ、企業がマーケティング戦略に取り入れるべき人気SNSプラットフォームをご紹介します。
中国独自のSNS環境は急速に進化しており、消費者の行動も大きく変わっています。本記事の情報を活用し、ターゲットに響く戦略的なマーケティング施策を展開しましょう。
中国のSNS市場

中国SNSの市場は、急速な技術革新と消費者ニーズの変化により、常に進化を続けています。
近年は若い層を中心にSNSの利用が多様化してきており、単なるコミュニケーションツールとしてだけでなく、情報収集、ショッピング、エンターテインメントの場としても重要な役割を果たしています。
中国インターネット情報センターによると、インターネット人口は2026年1月時点で14億人に上り、そのうちSNS人口の割合は97.1%にも達しています。
中国人の1日あたりのインターネット利用時間は約5時間と長く、若年層からシニア層まで幅広い年齢のユーザーが毎日活発に利用しています。
さらに、特筆すべきなのが、中国政府によって通信が検閲・規制されているため、SNS市場が独自のエコシステムを作り上げている点です。
Instagramやfacebookなど、西欧諸国の主要SNSは利用されておらず、中国独自のアプリが普及しています。
例えば、WeChat(微信)は単なるメッセージアプリの枠を超え、決済やeコマース機能を統合した「スーパーアプリ」として、ほぼすべての世代に利用されています。
Weibo(微博)や小紅書(RED)は、インフルエンサーによるマーケティングやトレンド発信において非常に強力なツールとなっており、特にZ世代の消費者にリーチしたい企業には欠かせません。
【中国で人気のあるSNSの例】
WeChat(微信)
Weibo(微博)
RED(小紅書)
Douyin(抖音)
Kuaishou(快手)
Bilibili(哔哩哔哩)
2025年中国で人気だったSNSは?

2025年に注目を集めたSNSは「小紅書(RED)」です。
もともと女性ユーザーを中心にコスメやファッションに関するレビューや体験をシェアするプラットフォームとして人気を集めましたが、現在ではライフスタイル全般にわたるコンテンツが投稿されており、幅広いユーザー層から支持されています。
小紅書(RED)は女性利用率が高く、24歳までの若い世代が最も活用しているという特徴があり、女性比率が高いのは微博と小紅書、若年層比率が高いのはbilibiliと小紅書とされています。
小紅書(RED)への注目がさらに高まった理由の一つは、ユーザーによる「リアリティがあり信頼性の高い口コミ」や「実体験に基づく投稿」が強い影響力を持っていることです。
中国の消費者は広告だけでなく、実際に商品を使用した他のユーザーのレビューを参考にして購買を決定する傾向が強く、小紅書(RED)はこの点で非常に効果的なプラットフォームとなりました。
2026年中国で人気になるSNSとは?

2026年に入り、小紅書(RED)の存在感はさらに一段階進化しています。
REDはもはや単なるSNSではなく、中国最大の購買意思決定検索エンジンへと進化したとされるほどで、現地では「REDに口コミが存在しないブランドは、市場に存在しないのと同じ」とすら言われています。
公式サイトやECの売上データよりも、REDで検索したときに何が表示されるか、そしてその投稿にどれだけリアルな反応があるかが、ブランドの信頼性を左右する時代になっているのです。
また、マーケティングの前提そのものも変化しています。
中国市場におけるマーケティングは機能訴求から生活提案にシフトしており、企業には商品そのものだけでなく、どのような体験や価値を提供できるかが求められる時代に突入しています。
この背景には、Z世代を中心とした「モノ消費」から「ライフスタイル・共感消費」へのシフトがあり、従来の広告主導型マーケティングでは購買につながりにくい状況が生まれています。
もう一つ見逃せないのがインバウンド需要との連動です。
日本政府観光局(JNTO)によると、訪日中国人は増加を続けながらリピーター化が進んでおり、REDは訪日前の情報収集から購買決定までを担うプラットフォームとしての役割を強めています。
ライブコマースの存在感も拡大しています。
SNSプラットフォームが直接販売機能を提供し、ユーザーがアプリ内で商品を購入できるようになっており、ストーリーズやショート動画も引き続き人気を集め、マーケティングに積極的に活用されています。
取り扱っている商品やサービスが、
ファッション
美容
旅行
グルメ
となる企業にとって、2026年のREDはさらに大きなチャンスとなっています。
ユーザーが求めるリアルな声に基づいたコンテンツを活用し、信頼性のあるマーケティングを展開することで、消費者との深いつながりを築くことができます。
また、ユーザー生成コンテンツを積極的に取り入れることで、消費者が自らブランドの一部となり、自然な形での宣伝効果を生み出す環境も整っています。
代表・陳逸翔の所感
2025年、2026年、そして2027年の中国マーケティングについて、僕なりの考えをお話しします。
正直、2026年は2024年・2025年と大きく変わらないと思っています。日本企業が中国向けに投資すべき媒体は、引き続き小紅書(RED)と抖音(中国版TikTok)が中心です。
「2027年になったら新しいSNSが出てきて、そこへ移行するんじゃないか」と聞かれることもありますが、僕はその可能性はあまり高くないと思っています。
というのも、SNSは実は参入障壁が非常に高いんです。開発するだけではなく、莫大な資金を投じてユーザーを集め、定着させなければいけません。実際、中国のSNS市場を見ても、かなり成熟してきています。ここから新しいSNSが登場して、若いユーザーを大量に獲得するというのは、簡単なことではありません。だからこそ、今あるプラットフォームをどれだけ深く理解できるかが重要になると思っています。
そして、コンテンツの考え方も変わってきています。ただ面白いだけ、ただバズるだけの動画では、成果が出なくなっています。これからは、「ユーザーの役に立つ情報」を発信できる企業が強くなっていくと思っています。実際に現場でも、その傾向は年々強くなっています。だから僕は、これからも小紅書や抖音を徹底的に研究し続ける企業は伸び続けると思っています。もちろん、自社で研究するのが難しいのであれば、専門会社へ外注し、自社は事業に集中するという選択肢もありだと思います。2024年、2025年から地道に投資を続けてきた企業は、ここからさらに成果が出てくるタイミングではないでしょうか。
最後に、媒体選びについてですが、僕は「REDだけ」「抖音だけ」という考え方はあまりおすすめしていません。業界にもよりますが、基本的には両方やるというのが一番効率的です。どちらの媒体から、どんなユーザーが問い合わせをしてくるのかは、実際に運用してみないと分かりません。ショート動画を制作するのであれば、投稿できる媒体にはできるだけ展開し、それぞれの媒体で成果を検証していく。これが、今の中国マーケティングでは最も成果につながりやすいやり方だと、僕は考えています。
まとめ
中国でのSNS市場は2025年から2026年にかけて、さらなる進化を遂げています。
特に、小紅書(RED)の存在感は際立っており、単なる情報発信・口コミの場から「購買意思決定を左右する検索インフラ」へと役割を拡大させました。
口コミや実体験に基づいた「信頼性の高いコンテンツ」、そしてAI時代における「人間味」のある発信が、企業のマーケティング成果を大きく左右する時代です。
中国SNSマーケティングは変化のスピードが極めて速く、半年前の常識がすでに通用しなくなっていることも珍しくありません。
中国市場での成功には、こうしたSNSプラットフォームの最新動向を常に把握しながら、現地の消費者感覚を理解したパートナーと連携し、小規模な施策からテストを重ねて段階的に拡大していく姿勢が求められます。


