Case

実績

2026/8/17 0:33

木下不動産もインバウンド集客を!?

会社名


株式会社 木下不動産

事業概要


都市型マンション企画分譲事業、集合住宅建築請負事業、不動産仲介事業を中心に、不動産投資・マンション経営・土地活用などを展開する木下グループの不動産会社。

URL


https://www.kinoshita-realestate.com/

担当者


U様

相談背景


木下不動産様からご相談いただいたのは、中国人向けに自社物件の販売を強化したいという内容でした。

木下不動産様は不動産の売買を主力事業としており、その中でも今回ご相談いただいたのは、東京23区ど真ん中の超高額物件というより、東京の郊外エリアにあるワンルームマンションを中心とした自社物件を、中国人投資家・中国人顧客に向けて販売していきたいというテーマです。


中国人向けの不動産販売というと、タワーマンションや都心の高額物件を想像されることが多いのですが、実際には、ある程度現実的な価格帯で、日本の不動産投資に興味を持つ中国人層も一定数います。特に、東京近郊のワンルーム投資や、比較的手が届きやすい価格帯の区分マンションは、「最初の日本不動産投資先」として検討されることも少なくありません。


一方で、この領域は中国SNS上で簡単に売れるものでもありません。不動産という商材自体が中国SNSではかなりセンシティブで、媒体によっては規制対象になりやすく、露骨な投資訴求や売買訴求をすると、アカウントの警告や投稿削除、最悪の場合アカウントBANに繋がることもあります。しかも、木下不動産様側のご相談窓口になっていた代理店様は、そういった中国SNSの運用や制作に強い会社ではなかったため、「そもそもどういう形で見せればいいのか」「何が危なくて何が通るのか」「撮影から投稿まで誰がやるのか」というところを、自社だけでは回しきれない状態でした。


そのため、実際の相談の入り口としては、中国向けにREDを活用したいが、運用・撮影・制作まで含めて対応できる会社を探しているというものでした。そこに対して、弊社が下請けという形で入らせていただき、企画・撮影・制作・投稿運用までをまとめて担当する流れになりました。


また、今回の案件では、社員の方を前面に出して発信するのではなく、モデルを起用して、あくまで中国人ユーザーが見やすい不動産紹介コンテンツとして成立させる方針で最初から固めたのも特徴です。不動産営業色を強く出しすぎるとBANリスクが上がる一方で、モデルを使うことで生活感や導線を演出しやすくなり、物件そのものの見せ方にも幅が出ます。そうした設計も含めて、「不動産を中国SNSでどう見せるか」をゼロから整理していった案件でした。

対応概要


本案件では、小紅書(RED)だけでなく、抖音(中国版TikTok)も含めた二媒体運用を実施しました。

媒体としてはREDが中心ではあるものの、不動産のように「物件の雰囲気」「部屋の広さ」「周辺環境」「生活イメージ」を視覚的に見せたい商材は、動画との相性が非常に良いです。そのため、REDの検索導線だけを狙うのではなく、抖音側でも動画を展開し、より幅広く接点を作る方針を取りました。


実務としては、まず木下不動産様側から、撮影可能な物件候補を事前に共有いただき、弊社でその中から撮影対象を確認・整理しました。

不動産案件は、どの物件でも自由に撮れるわけではありません。販売状況、入居状況、オーナー側の意向、撮影導線、鍵の受け渡しなど、地味ですが事前確認が非常に多い案件です。そのため、単純に「今月はこの物件を撮ります」で済む話ではなく、実際に撮影できる物件を毎回事前に精査し、その上で撮影スケジュールを組む必要がありました。


撮影体制としては、社員出演ではなくモデル起用の方針を採用したため、弊社側でモデルのキャスティングも行いました。

物件紹介系のコンテンツは、ただ部屋を映すだけだと単調になりやすく、特にREDでは生活者目線の文脈がないと見られづらい傾向があります。そのため、モデルが実際に部屋に入る、窓際に立つ、収納を見る、周辺の生活導線を感じさせる、といった形で、“中国人ユーザーが日本でこういう物件に住む・持つイメージ”を補完する撮影を意識しました。


撮影日は、1日に何件も物件をはしごする形になることが多く、月1回〜2回程度の撮影日にまとめて複数物件を撮影していきました。

不動産案件は、飲食店のようにその場で1件撮って終わりではなく、1日に数件回ることも珍しくありません。移動、鍵の受け取り、室内撮影、周辺撮影、モデルカット、撤収という流れを何本も回す必要があるため、撮影日の運営負荷はかなり高い部類に入ります。

制作面では、脚本の作成・チェック、AIボイスの原稿作成と読み上げ調整、モデルカットを含めた編集、テロップ設計までを一気通貫で対応しました。

不動産動画は、見た目を綺麗にするだけでは意味がなく、「何を言うか」がかなり重要です。例えば、露骨に投資利回りや儲け話に寄せると危険ですが、逆に何も情報がなければ問い合わせに繋がりません。そのため、どこまでを生活導線として見せ、どこまでを物件訴求として入れるか、そのバランスを毎回調整しながら脚本を作っていました。

運用期間としては半年間、月8本投稿のプランで進行しています。

弊社内でいうところの「一軍」メンバーをアサインしており、料金としては月60万円の運用プランです。一軍メンバーを入れた理由はシンプルで、不動産は中国SNSの中でもかなりBANリスクが高い商材だからです。何が危なくて、どの表現なら通りやすいのか、どこがグレーゾーンなのか。そこを感覚ではなく経験値で判断できるメンバーでないと、正直かなり危ない案件でした。

また、月額費用の中には、撮影時の交通費やレンタカー代など細かい経費は含める形で対応しました。一方で、モデルについては撮影ごとに入れ替えが発生することもあり、モデル代のみ別途キャスティング費用としてご請求する形にしています。

結果として、半年間の運用の中で、毎月60〜80件程度の問い合わせが発生しました。

もちろんその全てが純粋な物件購入相談だったわけではなく、採用系、営業系、その他の問い合わせも混ざっていました。ただ、それでも「中国SNSを通じて、不動産という難易度の高い商材でも、一定量の問い合わせが発生する」ことを実証できた案件だったと思います。

対応ポイント


① 不動産アカウントとして、企業ブルーバッジを取得したこと


この案件で最初に対応した重要ポイントの一つが、REDの企業ブルーバッジ取得です。


不動産は中国SNSの中でもかなり警戒されやすいジャンルです。個人アカウントでいきなり投資物件を売るような見せ方をすると、かなり危険ですし、ユーザーから見ても信頼されづらい。そこで、木下不動産様のアカウントについては、企業としての正当性を担保するために企業ブルーバッジを取得しました。


ブルーバッジを取ることで、「ちゃんとした企業が運営しているアカウントですよ」という証明になるだけでなく、業界としての権威性や安心感も多少出ます。また、広告配信機能なども使いやすくなるため、今後の運用の幅を広げる意味でも、ここはかなり重要な初期対応でした。


② 不動産のBANラインを理解した上で、一軍メンバーで運用したこと


社長がおっしゃっていた通り、この案件は弊社内でも一軍メンバーで対応しています。

理由は、不動産が単純に難しいからです。


例えば、同じ物件紹介動画でも、言い回し一つで危険度が変わります。

「投資」「利回り」「買うべき」「値上がり」といったワードをどう扱うか。

物件の見せ方をどこまで営業色にするか。

モデルをどう動かし、どこまで生活導線として見せるか。

こういった細かい調整をミスると、再生が伸びないだけでなく、アカウント自体に傷がつく可能性があります。


一軍メンバーを入れたのは、単に動画の見た目を綺麗にするためではありません。「何がBANされやすく、何が通りやすいか」を現場感で把握している人間が必要だったからです。結果として、フォントがぐちゃぐちゃ、構成が見にくい、手を抜いているように見える、といったことも当然ありませんし、最低限の品質ラインを超えた状態で運用を継続できたと思っています。


③ モデル起用によって、不動産営業色を和らげつつ生活導線を見せたこと


この案件では、木下不動産様の社員さんを出演者にするのではなく、モデルを起用する方針を取りました。

これは見た目の問題だけではなく、中国SNSで不動産を扱う上でのリスクヘッジでもあります。


社員が前面に出て「この物件おすすめです」「投資にいいです」とやると、どうしても営業色が強くなりやすい。一方で、モデルを起用し、あくまで生活イメージを補完する形で見せると、コンテンツとしての受け止められ方が少し柔らかくなります。


また、中国人ユーザーにとっては、日本の郊外ワンルームというだけでは距離感がある場合もあります。そこにモデルが入ることで、「このくらいの広さ感なんだ」「こういう生活導線なんだ」といった感覚が伝わりやすくなります。単に室内を映すだけより、コンテンツとしての解像度はかなり上がったと思います。


④ 月8本・月1〜2回撮影という、継続前提の不動産運用にしたこと


不動産案件は、1本バズれば終わりという世界ではありません。

しかも今回は、中国人に対して東京郊外のワンルーム物件を継続的に見せていく必要がありました。そうなると、単発で派手な動画を1本作るより、継続的に物件を紹介し、アカウントとして信用を積み上げていくことの方が重要です。


そのため、月8本という更新頻度で、月1〜2回の撮影を回しながら、複数物件を継続的に出していく体制を組みました。

不動産は素材調達がそもそも大変なので、この本数を安定して回すだけでも結構ハードです。だからこそ、物件確認、撮影、脚本、モデル、編集、投稿までをまとめて一気通貫で回せる体制にしたことが、この案件の強みだったと思います。


⑤ 「不動産でも中国SNSから問い合わせが取れる」ことを証明できたこと


最終的にこの案件で一番大きかったのは、不動産という難易度の高い商材でも、中国SNSから毎月一定数の問い合わせが発生することを示せた点だと思っています。


もちろん、問い合わせの中には採用や営業系も含まれていましたし、全部が即売買に繋がるわけではありません。ただ、それでも毎月60〜80件規模で反応が来るというのは、不動産会社にとって一つの判断材料になります。


中国人向け不動産販売は、誰でも簡単に成功する市場ではありません。

でも、物件の見せ方、アカウント設計、BAN対策、継続運用をきちんとやれば、少なくとも「中国SNSは使えない」という話ではない。そこを一つ示せた案件だったと思います。

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