
監修者
株式会社篤月
陳 逸翔広告代理店を退職後、早稲田大学大学院入学&卒業。
累計100社以上の日本企業の中国SNSコンサルティング経験を持つ。
自身も5万以上のフォロワーを中国SNSでもつ、第一線のKOLである。
なぜ中国人材が注目されている?

現在、日本企業が中国人材に注目している背景には、単なる労働力不足の解消だけでなく、高度専門性への期待があります。
JETROのレポートが示していますが、中国はAI、電気自動車、グリーン・トランスフォーメーション(GX)といった先端技術分野で世界をリードしており、それらを支えるSTEM系(科学・技術・工学・数学)の人材層が極めて厚いことが特徴です。
現在の中国人材は、世界トップレベルの教育を受けており、熾烈な競争を勝ち抜いてきたエリート層が多いです。
具体的には、デジタルネイティブとしての高いリテラシーと、イノベーションを加速させるスピード感を備えています。
少子高齢化に伴い国内で高度IT人材を確保することが難しい日本企業にとって、最先端の知見とグローバルな視点を持つ中国人材は、企業の国際的な競争力を高める存在とされています。
参考記事:https://togetsu.co.jp/column/199UqVBk
参考記事:https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2024/1101/794b0087f95988bd.html
日本人と中国人のキャリア観の違いは?

日本人と中国人のキャリア観には大きな違いがあります。
日本人は一つの企業で長期的に実績を積み上げることを重視し、会社への帰属意識が強い傾向にあります。
その一方で、中国人は自分を一つの商品として捉え、能力を会社に対して売るという考え方を持っており、会社を自身の取引相手と捉えています。
そのため、中国では転職を通じてキャリアアップすることが一般的で、転職は決して悪いことではなくむしろ必要なステップと認識されています。
また、中国人は「発展空間」という概念を重視しています。
これは自己成長が見込める職場環境、つまりは給与アップやキャリアパスが明確に見える環境のことを指しています。
日本人が会社のために尽くすという考え方を持つのに対し、中国人は仕事よりも家族との時間を大切にし、家族のために仕事をするという価値観が根底にあるのです。
こうしたキャリア観の違いを理解しないまま、中国人社員の採用・育成を進めると、早期離職につながる恐れがあるため、注意しましょう。
中国人材のマネジメントのポイント

中国人材のマネジメントで重要となるのが、評価基準の明確化と透明性の確保です。
中国人は客観的な評価基準に照らして自分がどのように評価されているかを強く求める傾向があります。
したがって、上司の好き嫌いなど主観的な評価には大きな不満を持ちかねません。
評価制度があっても公表しないことや、結果のフィードバックをしないといった対応は、信頼を失う原因となります。
そのため、成果主義を重視する中国人に対しては、明確な職務定義と成果に基づいた評価制度を構築し、定期的なフィードバックを義務付けることが効果的です。
また、「面子」を重視する文化があるため、人前での叱責は避け、問題点と改善方法などを伝えるときは、個別で話しましょう。
反対に、人前での称賛や表彰は大きなモチベーション向上につながるため、積極的に取り入れるべきです。
さらに、中国人は成果を重視するあまりプロセスを軽視する傾向があるため、日本の職場文化であるチームワークやプロセスの重要性についても丁寧に説明する必要があります。
参考記事:https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2011/12/pdf/056-064.pdf
中国人社員が評価制度で不満を感じやすいポイント

中国人社員が日本企業の評価制度で不満を感じやすいポイントは、評価基準の不透明さです。
評価基準が明確に設定されていない、または公開されていない状態では、中国人社員は自分がどう評価されているのか理解できず、大きなストレスを感じます。
特に、年功序列や勤務態度を重視する日本的な評価制度は、成果主義を重視する中国人にとって納得感が得られません。
また、評価結果のフィードバックが不十分であることも不満要因となります。
なぜその評価に至ったのか、今後どう改善すべきかが明確に伝えられないと、評価者への不信感が高まってしまうのです。
さらに、昇進・昇格までの期間が長すぎることも問題になり兼ねません。
日本企業のように一定の職位に到達するために最低十数年以上勤続する必要がある制度では、早く成長して市場価値を上げたい中国人にとっては「発展空間」が見えず、転職を考える要因となります。
このように日系企業特有の給与や昇進における処遇のメリハリが不足していることも、優秀な人材の流出につながってしまうのです。
参考記事:https://togetsu.co.jp/column/XtPc0d3W
まとめ

今回は、中国人社員を採用するために重要となる人事評価制度について解説しました。
日本人と中国人ではキャリア観に大きな違いがあります。
中国人は転職を通じたキャリアアップを重視し、成長機会と明確なキャリアパスを求めます。
また、マネジメントにおいては、明確な人事評価制度とその透明性を求めています。
したがって、日系企業は成果主義に基づいた客観的な評価制度を構築し、定期的なフィードバックを実施する必要があります。
中国人社員が不満を感じやすいとされている、評価基準の不透明さ、フィードバック不足、年功序列重視の制度、昇進までの期間の長さなどを改善しましょう。


