
監修者
株式会社篤月
陳 逸翔広告代理店を退職後、早稲田大学大学院入学&卒業。
累計100社以上の日本企業の中国SNSコンサルティング経験を持つ。
自身も5万以上のフォロワーを中国SNSでもつ、第一線のKOLである。
中国人の日本渡航の現状

中国人の日本への渡航は、近年大きく回復しています。
2025年8月にはコロナ禍前の水準を超える102万人が訪日し、10月には71万5,700人の中国人観光客が日本を訪れています。
2025年1月から9月までの累計では約749万人の中国人が訪日しており、韓国に次ぐ第2位の訪日客数となっています。
また、旅行形態も変化しており、以前は団体旅行が3割を占めていましたが、1割まで減少し、現在は個人手配による旅行が主流となっています。
1990年代以降生まれの若年層の割合が増加していることから、ソロトラベラーも増えるなど、訪日スタイルが多様化しているのです。
渡航者の属性では、20代から30代の女性が全体の約5割を占め、上海市や北京市などの沿海部大都市の居住者が依然として多い傾向にあります。
参考記事:http://jp.china-embassy.gov.cn/zytz_0/202511/t20251114_11753712.htm
中国人の訪日熱は冷めた?

一時期の爆発的な「爆買い」ブームに見られるような、中国人による日本への訪日熱は、単純な「物欲を満たす旅」から「体験価値を追求する旅」へと変化しています。
そのため、中国人の訪日熱が冷めたというよりは、熱の「質」が洗練されたと解釈すべきです。
中国は経済成長に伴い、旅行経験豊富な中間層やZ世代が増加しています。
訪日中国人観光客は単に商品を買い求めるだけでなく、日本での文化体験や地方の美食、ウェルネスといった「コト消費」に強い関心を示している傾向が強いです。
また、旅行先の選択肢が国際的に増加している中で、日本は依然として人気が高いですが、SNS上の情報や口コミに敏感に反応する中国人は、SNSでの流行りから旅行先を決定する傾向があります。
このため、企業側は、SNSやKOLを通じた情報発信を強化し、「日本でしか得られない特別な体験」を訴求することが、新たな訪日熱を引き出す戦略になります。
今中国人が日本へ渡航するのは問題に

近年、日中間の政治的・社会的な情勢の変動が、中国人の日本渡航の意思決定にも影響を及ぼしています。
特に、両国間の関係が緊張する局面では、中国国内の世論やナショナリズムの高まりが、個人の渡航判断を抑制する要因となります。
一部の報道やSNS上でのネガティブな情報が一気に拡散されると、日本への渡航に対する心理的なハードルが上昇し、「非国民」と見られるリスクを恐れて日本旅行を控える動きが見られるのです。
これは、観光客だけでなく、日本への就職や留学を検討している人にとっても同様で、家族や友人からの反対を受けたり、将来のキャリアパスへの懸念から渡航を断念したりするケースも存在します。
日系企業は、中国人の採用活動において、こうした外部環境や国際情勢の影響を考慮して、企業として日中両国の文化や人材を尊重する姿勢を明確に打ち出し、優秀な中国人材を惹きつけることで、採用活動を円滑に進められるようにしましょう。
中国人の訪日客が減少している

JNTOの調査によると、2025年10月の訪日外客数は389万6,300人と過去最高を大幅に更新しました。
しかし、中国からの訪日客は71万5,700人であり、11月中旬以降に中国政府が日本への渡航自粛を呼びかけたことで、これまでと状況は一変しています。
中国人は訪日外客数の約20%を占める最重要市場の一つでしたが、12月以降は日中関係の緊張により訪日客が大幅に減少する見通しです。
中国政府による日本への渡航自粛が1年続いた場合、旅行消費額は1兆7,900億円減少すると予測されています。
2012年には、尖閣諸島問題によって約25%の訪日客減少が見られましたが、今回は政府による正式な渡航自粛要請が出されているため、より深刻で長期的な影響が懸念されています。
そのため、特に観光地や小売業界への経済的打撃が大きくなることが予想されます。
参考記事:https://www.jnto.go.jp/statistics/data/_files/20251118_1615-1.pdf
まとめ

今回は、中国人の日本渡航の現状と訪日熱について解説しました。
中国人の日本渡航は、2025年前半まで順調に回復し、個人旅行や若年層の増加など新たなトレンドも見られています。
また、円安効果もあり、訪日熱は高まっており、日本は中国人にとって魅力的な旅行先でした。
しかし、11月の高市首相の台湾有事発言をきっかけに日中関係が急速に悪化し、中国政府による渡航自粛要請が出されました。
この影響から、これまで389万人超の訪日客で賑わっていたところから一転し、12月以降は大幅な減少が予測されています。
この政治的緊張による影響は、日本の観光産業や小売業界に深刻な経済的打撃を与えることが予測されており、日系企業が中国人材を雇用する際にも、ビザ取得や人材の移動に関して新たな課題が生じることも考えられます。


