Case

実績

2026/8/6 12:11

リカーマウンテンが売上180%成長したインバウンド施策

概要


会社名

株式会社リカーマウンテン

事業概要

酒類・食品の輸入、卸売、小売。全国に酒販店を展開し、ウイスキー・ワイン・ビール・日本酒・焼酎など幅広い酒類を取り扱う酒類専門チェーン。

URL

https://www.likaman.co.jp/

担当者

ご担当者様


相談背景


リカーマウンテン様からご相談いただいた背景は、かなりシンプルで、「中国人インバウンドをもっとしっかり取りにいきたい」というものでした。もともとリカーマウンテン様は、全国各地に店舗を展開している大手の酒販チェーンで、都心部や観光客の動きが多いエリア、いわゆる“メガステーション”周辺にも複数店舗を構えています。しかも、単に酒を売っているだけではなく、免税対応ができる、品揃えがかなり広い、ウイスキーや日本酒、チューハイ、ビールなど、訪日中国人が欲しがる商品が揃っているという強みがありました。


ただ、その一方で、「じゃあ中国人に向けてREDで何を発信したらいいのか」「どの店舗をどう見せればいいのか」「免税や価格の強みをどう伝えればいいのか」というところが、まだ明確に整理されていない状態でした。日本人向けには認知がある会社でも、中国人旅行客からすると、“ただの酒屋”で終わってしまうケースは普通にあります。特に中国人旅行客は、旅行前にREDで「どこで買うと安いか」「どこが免税できるか」「ウイスキーの品揃えがいいのはどこか」「日本のコンビニやドラッグストアと何が違うのか」をかなり細かく調べます。


そこで、まず我々としては、リカーマウンテン様が持っている店舗の中でも、中国人観光客に刺さりやすい店舗、つまり駅近・観光地近接・免税対応・品揃えの強い店舗を優先して訴求対象に設定しました。その上で、この店では何が買えるのか、どのぐらい価格メリットがあるのか、免税ができるのか、競合のドラッグストアやディスカウントストアと比べて何が違うのか、そういった“旅行者目線での比較材料”を整理して、中国人向けに発信していく方針で施策がスタートしました。


要するに、「酒屋の宣伝をする」というより、「訪日中国人が旅行中に“ここは寄った方がいい”と思える買い物スポットとしてどう見せるか」が、この案件の出発点でした。


対応概要


リカーマウンテン様に対しては、中国人向けの口コミ拡散施策として、RED上でのマイクロインフルエンサー大量起用施策を実施しました。施策期間自体は3ヶ月の単発施策だったのですが、内容としてはかなりボリュームのあるものになっています。


まず前提として、リカーマウンテン様の案件は、飲食店のように“来店して食べてもらって投稿する”タイプではなく、商品をギフティングして投稿してもらう形を取りました。ここがかなり大きなポイントです。飲食店であれば席を一つ潰して接客が必要ですが、酒屋の場合はそうではありません。商品さえ用意できれば、比較的多人数に一気に配布ができますし、原価も飲食のフルコースに比べればかなり抑えやすい。だからこそ、思い切って母数を増やす施策が取りやすい案件でした。


実際に起用した人数は、3ヶ月で合計148名です。かなりの人数を動かしました。総フォロワー数で見ると約81万人規模で、マイクロインフルエンサー施策としては相当大きいボリューム感だったと思います。しかも、REDはTikTokや抖音に比べるとそもそも再生回数が伸びづらい媒体です。マイクロインフルエンサーの投稿であればなおさら、1本あたりの再生は低空飛行になりやすい。にもかかわらず、今回の施策全体では合計15万回再生まで持っていくことができました。


ギフティングした商品としては、ビール、ほろ酔い系の商品、ウイスキーなど、普段から中国人旅行客や在日中国人が買いやすいもの、日常的に消費しやすいものを中心に選定しました。価格としては、一本一本が極端に高い商品ではありません。ただ、その代わりに「普段飲む」「日本で買う意味がある」「お土産にもなりやすい」「友達に見せた時に分かりやすい」という商品を優先しました。1ダース、2ダース単位でまとめてギフティングすることで、インフルエンサー側から見ても受け取りやすく、投稿しやすい案件設計にしています。


また、今回の案件でかなり重要だったのが、RED上での表現設計です。REDはアルコール関連の投稿に少し敏感なところがあり、酒そのものをあまり露骨に押し出しすぎると、投稿の伸びやアカウント状態に影響する可能性があります。だからこそ、投稿文面や表現にはかなり気を遣いました。たとえば、日本語で「お酒」「アルコール」とそのまま書けば済む話でも、中国語では少し表現をぼかす必要があります。具体的には、中国語で“酒”を意味する「酒(jiu)」に近い言い回しとして、8+1=9、つまり「8+1=Q」のような表現を用い、露骨に酒と書かずに文脈で伝えるような工夫をインフルエンサーにも共有しました。こうした中国SNS特有の表現ルールまで含めて、投稿のガイドラインを作り、実際に148名のインフルエンサーへ落とし込んでいった形です。


投稿内容としては、単に「このお酒をもらいました」で終わらせるのではなく、リカーマウンテンという店がどういう場所なのか、何が強いのか、中国人旅行客にとってどういうメリットがあるのかをきちんと伝えるようにしました。具体的には、

・免税ができること

・日本のコンビニや一般スーパーよりも品揃えが広いこと

・ウイスキー、日本酒、チューハイなど、日本旅行中にまとめ買いしたい商材が揃っていること

・観光地や大型駅周辺に店舗があり、旅行動線に組み込みやすいこと

・価格比較をした時に、まとめ買いの選択肢として魅力があること

などを、投稿の中で自然に伝える設計にしました。

つまり、商品のギフティング施策でありながら、実際にやっていたことは「リカーマウンテンという小売店を、訪日中国人にとっての買い物スポットとして認知させる」ためのPRです。商品単体のレビューに見えて、裏では店舗送客のための設計をかなり細かくやっていた、というのが実態に近いです。


結果として、担当者様から後日伺った反響としては、昨年同月比、特に10月単月比較で売上が約180%まで伸びたとのことでした。もちろん売上の増加がすべて我々の施策だけによるものかと言われれば、季節要因やインバウンド全体の波もあるので断定はできません。ただ、少なくとも施策期間中に大量の口コミが出て、RED上でリカーマウンテン様の存在感が一気に増したこと、そして実際に売上インパクトが出たことは、かなり大きな成果だったと思っています。


個人的にも、この案件は「やっぱりプロダクト is king だな」と強く感じた案件でした。もともとの店舗が強い。商品が強い。立地がいい。免税もある。そういう土台があると、あとはそれを中国人に正しく見せるだけで、ここまで一気に伸びるんだなと。逆に言うと、商品力も立地も弱いものを無理やりSNSだけで伸ばすのは難しいですが、土台が強い企業さんであれば、正しい中国向け訴求をするだけでかなり跳ねる、そういう好事例だったと思います。


また、担当者様からは「またぜひやりたい」というお声もいただいており、次回は中国の長期連休前など、旅行需要が一気に高まるタイミングで再度施策を実施できれば、さらに大きな成果につながる可能性があると感じています。


対応ポイント


① 飲食店型ではなく、“商品ギフティング型”に振り切って母数を最大化したこと


今回の案件でまず大きかったのは、施策を飲食店のような来店型にせず、商品ギフティング型に振り切ったことです。


酒販店の場合、飲食店のように席数という制約がありません。たとえば焼肉店で148名を動かそうと思ったら、席の確保、予約調整、当日来店、遅刻やドタキャン対応など、現場オペレーションが一気に重くなります。ですが、リカーマウンテン様の場合は、商品を発送・配布する形にできるので、極端な話、人数をかなり積み上げやすい。ここが非常に大きな違いでした。


しかも、お酒という商材は、飲食店のコースに比べると原価が読みやすく、コントロールしやすいです。だからこそ、1人あたりの単価を抑えながら、148名というかなり大きな母数に配布することができました。中国SNSでは、特にREDでは、1人の大型インフルエンサーに数十万円払うより、こういう形でマイクロインフルエンサーを大量に起用した方が、検索面・口コミ面で強くなることが多いです。今回もまさにその形を取りました。


② REDのアルコール規制を踏まえ、表現をかなり慎重に設計したこと


この案件で最も神経を使ったのは、やはりREDのアルコール周りの表現です。


REDはお酒関連の投稿を一律禁止しているわけではないのですが、表現が露骨すぎたり、訴求の仕方が強すぎたりすると、投稿の伸びに影響したり、アカウントの評価に影響する可能性があります。だから、単純に「酒が安い」「酒を買おう」と書けばいいわけではありません。


そこで我々は、中国SNSでよく使われる婉曲表現や言い換えをインフルエンサー側に共有しました。たとえば“酒”を直接書きすぎないようにしたり、「8+1=Q」のような、中国語圏で通じる表現を用いたりして、規制に触れにくく、かつユーザーには意味が伝わる形で投稿を作ってもらいました。

このあたりは、日本の広告代理店や日本企業だけで運用していると、かなり抜けやすいポイントです。単に翻訳するだけではなく、中国SNSの空気感、表現規制、投稿の伸ばし方を踏まえて、どこまで言ってよくて、どこから危ないかを見極める必要があります。今回の案件は、その部分をかなり丁寧にコントロールしました。


③ 商品PRに見せつつ、実際は“店舗送客”のための設計をしたこと


一見するとこの施策は、「お酒を配って口コミを書いてもらっただけ」に見えるかもしれません。ですが、実際にやっていたことはもっと店舗送客寄りです。


投稿の中で大事にしたのは、「この商品が美味しい」だけではありません。

・どこで買えるのか

・免税できるのか

・何が揃っているのか

・観光地から行きやすいのか

・他店と比べてどうなのか

という、“中国人旅行客が実際に店に行く理由”をきちんと入れ込むことでした。


つまり、商品ギフティングをフックにしつつ、最終的には「日本旅行中にリカーマウンテンへ寄る理由」を作る。そこが今回の設計の本質です。実際、リカーマウンテン様はメガステーション周辺に店舗があり、免税もでき、品揃えも強い。そういう土台があるからこそ、商品の口コミだけで終わらず、店舗への来店動機までつなげられました。


④ “プロダクトと立地が強い企業は、中国SNSで一気に伸びる”という好例になったこと


この案件は、個人的にかなり分かりやすく「プロダクト is king」を感じた案件です。


正直、SNSだけで全部をひっくり返すのは難しいです。商品が弱い、店舗の魅力が弱い、立地も悪い、価格も微妙、そういう状態でSNSだけ頑張っても限界があります。ですが、リカーマウンテン様は違いました。もともと店が強い。商品が強い。免税もある。立地も良い。つまり、売れる土台が揃っている。


だからこそ、我々がやるべきことは、ゼロから価値を作ることではなく、その価値を中国人に分かる形で翻訳して届けることでした。実際、昨年同月比180%という売上インパクトまで出たことを考えると、かなりきれいにハマった案件だと思っています。


⑤ 飲食店では再現しづらい“短期間・大量投稿”が実現できたこと


3ヶ月で148名、総フォロワー81万人、15万再生というのは、飲食店案件ではなかなかやりづらい数字です。もちろん、飲食店でも数十人、百人規模の施策は可能ですが、現場オペレーションの負荷が全然違います。


その点、リカーマウンテン様のように物販・小売で、しかもギフティング設計ができる案件は、短期間で一気に投稿量を増やせるのが強いです。特にインバウンド施策では、旅行前に検索した時にどれだけ口コミが面として見えるかが重要なので、この“面を一気に作れる”というのはかなり大きい。


今回の案件は、まさにその良さが最大限に出た施策でした。店舗送客、口コミ量、検索面、売上インパクトまで含めて、かなり再現性のある成功事例の一つだと思っています。


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