
監修者
株式会社篤月
陳 逸翔広告代理店を退職後、早稲田大学大学院入学&卒業。
累計100社以上の日本企業の中国SNSコンサルティング経験を持つ。
自身も5万以上のフォロワーを中国SNSでもつ、第一線のKOLである。
越境ECにおける通関の壁:ポジティブリストと輸入禁止品目の確認

越境ECで中国市場に参入する際、「ポジティブリスト」の制約という関税リスクに直面します。
中国政府は2016年4月以降、越境EC小売輸入商品について、ポジティブリスト制度を導入しました。
このポジティブリストに掲載されている商品のみが電商総合税という優遇措置の対象となり、リストに掲載されていない商品は一般貿易の扱いとなり、より高い税率と複雑な手続きをしなければなりません。
2022年時点では、約1,413品目がポジションリストに掲載されており、アパレル、食品、雑貨、家電などが含まれています。
リスト外商品は何かしらの規制対象となり、特に、化粧品とサプリメントに注意が必要です。
これらの商品については原産地証明書や成分表の提出に加え、中国語ラベルの作成、さらに国家関連部門の許認可を事前に取得する必要があります。
2021年4月からは「輸入食品海外製造企業登録管理規定」が施行され、中国に食品を輸出する製造・加工・貯蔵企業に対して企業登録も義務付けられました。
このような規制を事前に確認せずに商品を発送すると、税関で差し止められるリスクがあるため、注意してください。
税関トラブルを防ぐ:商品ラベル・成分表示のコンプライアンス対応

食品添加物を含む商品を越境ECで中国に輸出する際には、成分表示のコンプライアンスの対応が求められます。
中国では食品添加物の輸入についてポジティブリスト制度を実施しており、原則として規定に合致しない食品添加物はすべて輸入禁止とされています。
具体的には、国務院衛生行政機関により認可され中国で使用が認められる食品添加物目録に収載されているか、または「食品添加物使用標準」および「食品栄養強化剤使用標準」に収載されている必要があります。
初めて中国に新品目の食品添加物の輸出を申請する中国国外の事業者は、輸出国の関係機関が交付した製造または販売許可証明資料、生産企業の所在国の関係機関が交付した審査または認証に関する証明性資料を提出する必要があります。
食品安全法第37条および第93条に従い、食品添加物の新品目を輸入する場合、安全性評価資料を国務院衛生行政機関に提出し、60日以内の審査を経てライセンスが付与されます。
商品ラベルについても、中国語表示が義務付けられており、表示内容に不備があれば通関時に問題となってしまいます。
関税トラブルを防ぐため、中国へ食品添加物を含む商品を輸出する企業は、事前に専門家や通関業者に相談し、中国の食品安全基準と表示規制に完全に適合させましょう。
参考記事:https://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/foods/exportguide/foodadditive.html
行郵税と越境EC総合税:関税コストの計算と価格設定への影響

価格競争力を維持し税関リスクを回避するためには越境ECにおける税制理解が重要です。
2016年4月に、保税区モデルについては行郵税が廃止され、越境EC統合税として関税、増値税、消費税の徴収に改訂されました。
新制度では、一回あたりの取引上限額が2,000元以下、かつ年間で2万元以下という制限が設けられています。
上限額以内であれば、関税率は0%、増値税と消費税については法定の70%を適用するという優遇措置が暫定的に設定されました。
具体的な税率を見ると、一般品の化粧品では関税0%、増値税17%×70%で実質税率は11.9%となります。高級化粧品の場合は消費税15%が加わり、実質税率は26.3%です。
旧制度では化粧品に一律50%の行郵税が課されていたため、新制度でも一般品については税負担が軽減されています。
ただし、税額50元以下の免税措置が撤廃されたため、低価格商品では実質的な税負担増となるケースもあります。
直送モデルについては行郵税が存続し、税率は3段階に変更されました。
書籍やIT製品は15%、スポーツ用品やアパレルは30%、化粧品や高級腕時計は60%です。
それぞれの商品の税率を正確に把握し、適切な価格設定を行うことが、越境ECビジネス成功の重要な要素となります。
参考記事:https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/9ff9c019ac31289b/20170021.pdf
保税区モデルと直送モデル:物流リスクを低減する配送モードの選び方

越境ECにおける物流の選択は、通関・税関リスクの低減に直結するため、極めて重要です。
主な配送モデルには「保税区モデル」と「直送モデル」があります。
保税区モデルは、商品を事前に仕向国の保税区倉庫に大量保管し、注文に応じて国内配送する方式です。
在庫を通関手続きが完了した状態で国内に持てるため、配送リードタイムが短縮され、購入者にスムーズに届くメリットがあります。
しかし、ポジティブリスト掲載品目のみが対象なので、注意が必要です。
一方で、直送モデルは、注文を受けてから国外から直接発送する方式で、手続きは簡易ですが、通関に時間がかかりやすく、配送遅延や関税トラブルのリスクが高いです。
物流と税関双方のリスクを低減するためには、販売商品の特性や通関要件、コスト、リードタイムを総合的に判断し、適切な配送モードを選択しましょう。
まとめ:越境ECの税関リスクを回避し安定運用するための対策

今回は、越境ECにおける税関リスクについて解説しました。
越境ECで中国市場に参入する際に、税関リスクを回避するには、包括的な事前準備が必要です。
第一に、ポジティブリストへの商品掲載確認と輸入禁止品目の精査を徹底し、化粧品や食品については必要な許認可を事前取得してください。
第二に、食品添加物の成分表示については中国のポジティブリスト制度に準拠し、中国語ラベルを含むコンプライアンス対応を完璧に行いましょう。
第三に、行郵税と越境EC総合税の違いを理解し、保税区モデルと直送モデルそれぞれの税率を正確に計算した上で、価格設定を行います。
また、商品特性と在庫戦略に応じて保税区モデルまたは直送モデルを適切に選択し、物流リスクを最小化することもポイントです。
中国の越境EC制度は随時変更されるため、最新の規制動向を常に把握し、柔軟に対応できる体制を構築しましょう。


