
監修者
株式会社篤月
陳 逸翔広告代理店を退職後、早稲田大学大学院入学&卒業。
累計100社以上の日本企業の中国SNSコンサルティング経験を持つ。
自身も5万以上のフォロワーを中国SNSでもつ、第一線のKOLである。
中国人による不動産「爆買い」の現在

これまで中国人による「爆買い」といえば、家電や化粧品の大量購入を指すことが多かったですが、現在の「爆買い」のターゲットは「日本の不動産」へシフトしています。
現在の中国人による日本の不動産購入は、単なる投資目的だけでなく、資産の分散や教育環境の確保、そして移住を見据えた実需という多層的な動機に基づいていることが特徴です。
対象となるエリアも、東京の湾岸エリアや新宿・渋谷といった都心の超高層タワーマンションから、北海道のニセコや沖縄などのリゾート地、さらには関西圏の商業用ビルへとどんどん拡大しています。
日本の不動産を爆買いするようになった背景には、中国国内の不動産市場の不透明感や経済状況が関わっており、安定した法制度と高い賃貸利回りといった特徴を持つ日本の物件は、中国の富裕層・中間層にとって非常に魅力のある避難先(セーフヘイブン)となっているのです。
この不動産の爆買いの動きは一過性のブームではなく、中長期的な資産運用戦略として定着していくことが予測されています。
なぜ日本の不動産なのか?

令和7年地価公示によると、全国平均では全用途平均・住宅地・商業地のいずれも4年連続で上昇し、上昇幅も拡大しています。
このような安定的な日本の不動産の地価上昇が、中国人の投資家にとって魅力的な投資環境を形成していると言えます。
日本の不動産・物件は、想定利回り3.5から4%程度とされており、北京や上海など中国主要都市の利回りと比較して数%は高く、安定収入源として評価されています。
さらに、中国では土地は国有で建物のみ所有可能ですが、日本では土地権利も含めて永久的に所有できるため、資産保全手段として好まれる傾向にあります。
また、日本には外国人不動産購入を制限する法規制が存在しないことも、投資を後押しする要因となっていると言えるでしょう。
参考記事:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001877216.pdf
不動産の中国人集客。RED(小紅書)

中国人の投資家へ効率的にアプローチするために最も重要と言われているのが、中国版Instagramと呼ばれる「RED(小紅書)」です。
RED(小紅書)は、ライフスタイルの検索エンジンと呼ばれており、特に都市部の感度の高い層や女性、富裕層から絶大な支持を得ている主要なプラットフォームです。
不動産集客においてRED(小紅書)が有効な理由として、視覚的情報・ビジュアルによる訴求力とリアルな口コミ文化が強みであることが挙げられます。
日系企業がRED(小紅書)を活用する場合、単なる物件情報の羅列ではなく、周辺のグルメ情報や学校区の評価、日本の生活習慣といった「そこに住んだ後のイメージ」を、洗練された写真や短尺動画で発信することが成功のポイントになります。
また、RED(小紅書)内での検索ワードを意識したSEO対策も必要不可欠です。
例えば「#日本投資」「#東京不動産」といった人気なハッシュタグを活用しましょう。
さらに、専門的な知識を持つ中国人スタッフを窓口とし、親しみやすく分かりやすい言葉で解説することで、心理的なハードルを下げ、ダイレクトメッセージを通じた直接の問い合わせへと繋げることが可能になります。
参考記事:https://togetsu.co.jp/column/i1cUY9Sn
成約の壁とは?

中国人が日本の不動産を購入するときに、最大の壁となることは、人民元は直接国際送金ができず、外貨に換金してから外貨口座からの送金となり、個人の国際送金は一人当たり年間5万ドル相当額に制限されていることです。
このような制限があるため、中国人が日本の高額な不動産を購入する際には複数の送金ルートを用意しなければなりません。
また、日本語の契約書や法律用語の理解、日本の不動産取引慣習の違いも中国人にとって障壁となります。
不動産購入では、宣誓供述書や印鑑証明に代わる公証書類の準備など、手続きの煩雑さも課題です。
さらに、中国人は融資を受けることが困難なため、現金購入が前提となり、投資額が限定されるケースもあります。
こういった障壁を乗り越えるためには、信頼できる仲介業者や通訳、法律専門家との連携体制の構築が必要不可欠です。
遠隔での物件確認や契約手続きを希望するケースも多く、オンライン対応の整備も日本の不動産企業にとって重要な成約促進要素となると言えます。
まとめ

今回は、中国人による日本の不動産の爆買いについて解説しました。
中国人による日本の不動産購入は、円安と安定した地価上昇を背景に近年活発化しており、東京都心部を中心に高額物件の現金購入が目立っています。
日本の不動産が今選ばれている理由は、中国の主要都市より高い投資利回りと永続的な所有権、そして令和7年地価公示が示す継続的な地価上昇が背景に存在しています。
中国人の富裕層へ効果的にリーチするためには、RED(小紅書)を活用したSNSマーケティングが推奨されており、実際に9割以上のユーザーが口コミを参考に消費行動を決めています。
一方で、日本の不動産を購入するには送金制限や複雑な手続きが成約の壁となっていることから、多言語対応やオンライン手続きの整備、信頼できる専門家ネットワークの構築が、中国人を顧客とする日本の不動産企業が取り組むべき課題になっています。


