
監修者
株式会社篤月
陳 逸翔広告代理店を退職後、早稲田大学大学院入学&卒業。
累計100社以上の日本企業の中国SNSコンサルティング経験を持つ。
自身も5万以上のフォロワーを中国SNSでもつ、第一線のKOLである。
近年、中国では医療情報のオンライン発信に対する規制が急速に強化されています。
SNSや動画配信を活用した医療機関やインフルエンサーによる情報発信が盛んになる一方で、虚偽広告や誇大表現による混乱も発生。
これを受け、中国政府は医療関連コンテンツへの監視体制を強化し、違反者への処罰も厳しくなっています。
本記事では、何が具体的に禁止されているのか、その背景と影響、そして今後の運用上の注意点について詳しく解説します。
中国では医療関連情報のSNSが禁止なの?

中国では、医療関連情報に対するSNSでの発信が全面的に「禁止」されているわけではありませんが、その内容や発信方法については厳格な規制が敷かれています。
特に、医療広告や診療行為の宣伝に関しては、法律上の制限が強く、虚偽や誇大な表現、診療効果の保証、患者の声の引用などは禁止事項として明確に定められています。
近年、SNSや動画プラットフォーム上での医療関連コンテンツの監視体制が強化され、違反アカウントの削除や罰金といった処分が相次いでいます。たとえば、病院名や医師の実名を使って治療効果をアピールする投稿は、たとえ事実であっても「違反広告」として削除されるケースがあります。
また、医療機関だけでなく、KOLやKOCなどのインフルエンサーが医療関連の商品やサービスを紹介する場合にも、同様の規制が適用されます。医療情報の取り扱いは「専門性」と「公共性」が問われるため、情報源の信頼性や発信の正確性が求められ、一般ユーザーが軽い気持ちで発信することは非常にリスクが高い状況です。
参考記事:https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/rim/pdf/9643.pdf
中国SNS、医療関連情報規制の背景

中国がSNS上での医療関連情報の規制を強化する背景には、近年急増した「不正確な医療情報」と「過剰な商業利用」による社会的混乱があります。
特に新型コロナウィルスによるパンデミック以降、人々の健康意識が高まる一方で、SNSや動画プラットフォーム上には科学的根拠に乏しい情報や誇張された医療広告が氾濫。こうした状況が、誤った治療選択や医療不信を招く一因となっていました。
さらに、医療機関や個人がSNSを通じて直接的な診療誘導や過剰な自己宣伝を行うケースが目立ち、消費者保護の観点からも問題視されてきました。
特定の治療法を「絶対に効く」と断言したり、実在患者の体験談を広告に流用したりする事例は、虚偽広告や倫理的問題として当局の監視対象となっています。
このような流れを受けて、SNSにおける医療関連コンテンツの規制に乗り出しました。国家衛生健康委員会や国家インターネット情報弁公室は、医療機関の広告管理だけでなく、個人ユーザーやインフルエンサーによる情報発信にも監督の手を広げています。
中国SNS、医療関連情報規制の具体的な内容について

中国では、SNS上での医療関連情報に対する規制が明文化されており、特に商業的・誇張的な表現に対して厳しい制限が課せられています。
医療情報の「真実性」「科学性」「公共性」を重視し、違反した投稿やアカウントに対しては削除、警告、場合によっては罰金や資格剥奪といった処分を実施しています。
具体的には、治療効果を保証する表現(例:「必ず治る」「100%効果がある」)は全面的に禁止されています。
また、医師や患者の実名・顔写真を使った広告的利用も、本人の同意があっても原則として違反とみなされるケースが多く、プライバシーや医療倫理の観点から問題視されています。
さらに、ユーザーの不安を煽る表現や誤解を招くタイトル・サムネイルも制限対象です。
「この症状が出たら危険!」
「放置すると手遅れに」
など、不安心理をあおるような言葉づかいや煽動的な構成は、アルゴリズムによって自動検知され、非表示・削除されることがあります。
こうした規制は、小紅書(RED)、抖音(Douyin)、微博(Weibo)などの主要SNSすべてに適用されており、プラットフォームごとに独自の審査基準が設けられています。
投稿は事前審査にかけられる場合もあり、商業目的の投稿であれば、医療広告としての届け出やライセンスの提示を求められることもあります。
参考記事:https://www.ohebashi.com/jp/newsletter/202409CNLTakatsuki.pdf
参考記事:https://www.noandt.com/publications/publication20240830-1/
規制による影響

中国における医療関連情報のSNS規制強化は、マーケティング活動を展開しようとする企業にとって、計画や運用方針に大きな影響を与える要因となっています。
とくに医療・ヘルスケア分野においては、広告表現の自由度が著しく制限されており、従来のプロモーション手法が通用しない場面も増えてきました。
たとえば、治療効果や患者の体験談を打ち出した訴求ができないことで、説得力のあるコンテンツを構築しづらくなっています。
さらに、動画や画像においても医師や患者の顔出しが制限されているため、信頼性を表現しにくく、ブランド構築や共感獲得に時間がかかる傾向にあります。
また、投稿の審査や削除リスクも高まっており、せっかく準備したコンテンツが非公開にされるケースも珍しくありません。
これらの理由から、中国市場における医療関連ビジネスは、SNS活用に対して一層の慎重さと専門知識を求められるようになりました。
単純な広告出稿では成果が出づらく、ユーザーとの信頼関係を構築する「価値提供型コンテンツ」や、「啓発・教育的アプローチ」がより重視されています。
まとめ

中国におけるネット医療情報の規制は年々強化されており、虚偽広告や誇大表現、医師や患者の実名利用などが厳しく制限されています。
SNS上での医療関連発信には高度な専門性と倫理性が求められ、違反すればアカウント削除や罰金などのリスクも。
マーケティング担当者にとっては、従来の広告型プロモーションではなく、啓発的・中立的な情報提供を重視したコンテンツ設計が不可欠になっています。


