
監修者
株式会社篤月
陳 逸翔広告代理店を退職後、早稲田大学大学院入学&卒業。
累計100社以上の日本企業の中国SNSコンサルティング経験を持つ。
自身も5万以上のフォロワーを中国SNSでもつ、第一線のKOLである。
グローバル化が進む中で、外国人人材を採用する企業が増えており、人材市場の変動が激しくなっています。
中でも、優秀な教育を受けた人が多いとされている中国人材は注目を集めています。
中国人材の雇用における国際的な競争は高まっており、採用に力を入れる日系企業も多いです。
今回は、採用した中国人材に長く働いてもらうための方法を解説していきます。
なぜ今、中国人材の定着率向上が重要なのか?

日系企業において中国人材の定着が重要な理由はいくつかあります。_
まずは、中国市場における優秀な人材を確保し、育成することが国際的な競争力を向上させる原点であるからです。
日系企業が中国に進出するにあたって、ローカル人材が持つ専門知識や現地のネットワークは、企業が利益を上げるために必要不可欠なものとなります。
採用した中国人材が定着してくれると、企業がローカル市場への適応力を高めることができ、国際的な競争において優位性を保てます。
次に、人材の定着は採用や育成にかかるコストの削減にも影響します。
長く勤めてもらうことで、教育や研修に投資したリソースを最大限に活用できます。
その一方で、定着率が低いと、これらの投資が無駄になってしまい、採用業務の効率も下がります。
また、中国市場には優秀な人材が多く、他社に引き抜きされる恐れがあるため、定着率を上げて、社員一人ひとりのモチベーションを維持することも重要です。
継続に影響する企業としてのブランドの魅力を上げると、既存社員の定着だけでなく新たな人材の確保にも有利に働きます。
参考記事:https://www.jil.go.jp/institute/reports/2012/documents/0147_01-4.pdf
なぜ離職してしまうのか?中国人材が抱える「辞めたくなる理由」

まずは、日本企業独自の企業文化である長期時間労働が挙げられます。
中国企業では、労働環境が比較的柔軟であり、ワークライフバランスが重視されています。
そのため、対照的な日本の労働時間に対して、耐えられない人材がいることが確かです。
次に、言語の壁から生じるコミュニケーションにおける課題も考えられます。
中国進出をしている日系企業では、中国語でコミュニケーションを取れる人がいる可能性が高いですが、すべての人が話せるわけではありません。
ゆえに、配属部署でコミュニケーションが取りづらかったり、年功序列の関係から意見が言いづらかったりする恐れがあります。
さらに、日本企業のキャリアパスの透明さの欠如も関係しています。
日系企業は昇進に関して慎重な姿勢であり、明確で定量的な評価基準があまりないため、キャリアパスが見えずに離職する若者が多いです。
中国人材は、キャリアパスや昇格について意欲が高いため、具体的な選択肢を提示しましょう。
参考記事:https://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/ssrc/result/memoirs/kiyou41/41-04.pdf
定着率向上に向けた5つの実践戦略

①日本の企業文化への理解を深め、馴染みやすい職場環境にするために、イベントやワークショップを実施することです。
日本語が話せる中国人材であっても、日本企業独自のビジネス文化はあまり馴染みがなく、中国の企業文化との違いに悩みます。
したがって、守るべき日本のビジネスマナーや職場での姿勢、価値観などを経験できる機会を設けましょう。
②日本語が話せる中国人材でもコミュニケーションに不安を抱いている人は多いです。
したがって、相談しやすい社員としてメンター制度を導入しましょう。
メンター制度があることで、仕事だけでなく私生活の相談もしやすくなります。
さらに、中国人材の変化にも気づきやすくなるので、トラブルが起きる前に対処しやすいです。
③中国人材はキャリアパスや昇給に敏感であり、転職へのハードルが低いです。
そのため、定着を図るには、成長を見通して明確なキャリアパスを提示することが重要です。
定期的に面談を実施し、日常業務へのフィードバックをおこないましょう。
そして、具体的な将来の目標や昇給などについて話し合います。
④中国人材の活躍を期待するには、日本企業独自の勤務形態を見直すことが必要です。
具体的には、フレックスタイムやリモートワークなどを導入し、多様で柔軟な働き方を進めましょう。
また、結婚や育児、介護などのライフイベントに対する前向きな支援の姿勢も持ち合わせることも大切です。
⑤透明性の高い評価基準を設けましょう。
日系企業は定性的で明確でない評価基準が多いため、中国人材は自身の貢献や努力を実感しにくく、離職することがあります。
フィードバック面談だけでなく、社員自身が実感できる評価制度を導入して、成果を理解しやすいようにしましょう。
また、中国人材の意見を聞く機会も設け、職場環境の改善や多様化に努めることも大切です。
参考記事:https://www.law.osaka-u.ac.jp/c-forum/box2/dp2020-1ma.pdf
成功事例に学ぶ!定着率改善に取り組む企業のケーススタディ

中国人材の定着を図るために、日系企業が取り組んだ成功事例をご紹介します。
①AEON
AEONでは、中国人材からの自発的な提案を奨励する制度を導入しました。
この制度によって、従業員が提案することが奨励される環境が作られ、成果がきちんと評価される仕組みが整っています。
発言の環境があることによって、中国人材のエンゲージメントや満足度が高まり、定着率の向上につながったとされています。
②丸協運輸
上海に拠点を置く丸協運輸では、人材育成に力を入れており、独自のマネジメント方法を導入しています。
具体的には、従業員の意見を積極的に受け入れ、その意見をもとに活躍できる場を作ることです。
このマネジメントによって、従業員の定着だけでなく、顧客満足度の向上にも寄与したとされています。
まとめ

今回は、優秀な中国人材を採用したあとの定着について解説しました。
人材市場が変動する中で、せっかく獲得した中国人材に活躍してもらうには、定着してもらえる職場にすることが大切です。
特に、中国人材はキャリアパスや昇給についての関心が高いため、他社に負けないよう明確なキャリアパスと魅力的な待遇を設けましょう。


