
監修者
株式会社篤月
陳 逸翔広告代理店を退職後、早稲田大学大学院入学&卒業。
累計100社以上の日本企業の中国SNSコンサルティング経験を持つ。
自身も5万以上のフォロワーを中国SNSでもつ、第一線のKOLである。
記事のポイント
2025年の訪日中国人消費額は2兆58億円で全国籍中1位、飲食費も支出の約2割を占める。
飲食店ではKOC中心のマイクロインフルエンサー施策が、来店促進に効果的。
成功事例の共通点は、投稿数の積み重ねと検索キーワードを意識した導線設計。
訪日外国人によるインバウンド消費は、多くの日本企業を支えています。中でも、飲食業界は大きなインバウンド消費が見込めるため、訪日外国人を意識した集客により力を入れたいと考えている店舗も多いでしょう。
そこで今回は、飲食店ではどんな方法でのインバウンド集客が効果的なのか、また集客成功のコツについても詳しく解説します。
2025年のインバウンド市場

2025年のインバウンド市場は、過去最高を更新しました。観光庁の発表によると、2025年の訪日外国人旅行消費額は9兆4,549億円(前年比16.4%増)、訪日外国人数は4,268万3,600人(前年比15.8%増)と、いずれも過去最高を記録しています。
中でも中国は、旅行消費額2兆58億円(構成比21.2%)で全国籍・地域中1位でした。訪日中国人数も909万6,455人(前年比30.3%増)と大きく伸びており、1人当たりの旅行支出も24万6,550円と、他国籍を大きく上回る消費力を見せています。費目別では買物代が最も大きな割合を占め、飲食費も旅行支出全体の約2割を占めています。このことから、飲食業界にとって中国人観光客は引き続き重要なターゲットだということがわかります。
参考記事:https://www.jnto.go.jp/news/press/20240918_monthly.html
インバウンドでの集客方法とは

インバウンドでの集客を考えるうえで重要なことといえるのが、いかにして海外在住の方に店舗や商品、サービスの存在をキャッチしてもらうかです。
「訪日外国人の消費動向・2023年年次報告書」によると、出発前に役立った旅行情報源としてもっとも多かったのが「動画サイト」(35.2%)、「SNS」(32.5%)、「個人のブログ」(27.4%)でした。そして、親族や知人からの情報、日本政府観光局のHPや宿泊施設のHP、口コミサイトなどが続きます。
インターネットを利用した情報収集がスタンダードになっているため、SNSの運用やWEBサイトの運営、ブログなどを活用するのが集客のカギといえるでしょう。
一方で、国によって文化や国民性が違うため、効果の高い集客方法は異なります。たとえば、旅行消費額がもっとも多い中国の場合は、口コミを重んじる文化が根付いているため、インフルエンサーを起用したSNSマーケティングが特に効果的です。
中国マーケティングでよく使われる主な手段は、以下の4つです。
自社アカウントの開設・運用
KOC/KOLマーケティング(インフルエンサー施策)
种草(しゅそう:興味関心の種まきを行う投稿施策)
ライブコマース・AD広告
中でも、フォロワー1万人以上の「KOL」と、フォロワー1,000〜9,999人程度の「KOC」は役割が異なります。KOLはブランドの認知拡大や話題化に強く、KOCはより消費者目線に近い投稿で、来店や購買の後押しに効果的です。飲食店の集客では、親近感のある口コミ投稿が多いKOCを中心とした施策が、来店促進につながりやすい傾向があります。
参考記事:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kankorikkoku/kettei/siryou16.pdf
飲食店に特化したインバウンドでの集客方法

飲食業界においても、インターネットを活用した情報発信を通して、お店を認知してもらうための動きが重要です。まずは多言語に対応したHPを作成し、Googleビジネスプロフィールに登録することから始めてみましょう。
そして、SNSやポータルサイトなど、さまざまなチャネルへの展開も検討すると効果的です。
一方で、情報発信だけでなく顧客体験の満足度を上げるための工夫も必要です。
例えば、多言語のネット予約受付に対応するなどのインターネット上のスムーズな導線整備のほか、外国語対応のメニューや無料Wi-Fiの設置、訪日外国人がよく利用する決済手段に対応するなど、インバウンド客に最適化した環境を整えることも重要といえます。
訪日外国人の満足度が上がればリピーターになることが期待できるだけでなく、口コミを通してお店の評判が伝わり、集客へとつながるでしょう。
飲食店のインバウンド集客 成功事例
中国人インフルエンサーを起用したSNS施策によって、来店数・売上を伸ばした飲食店の事例を紹介します。
銀座の焼肉店:2024年8月に施策を開始し、158名のインフルエンサーを起用しました。開始当初は月商約700万円でしたが、現在は月商平均2,200万円まで向上しています。年末年始には2,700万円を達成し、顧客単価も140%向上しました。
渋谷の焼肉店:施策開始1ヶ月目から中国人一般客の来店しました。RED上で「渋谷 焼肉」と検索すると、来店したKOCの投稿が上位表示されるようになり、検索面での露出強化にもつながっています。
すき焼き専門店:1名7,000円という高価格帯のコースにもかかわらず、在日・訪日中国人から多くの関心とコメントを獲得しました。現在は10店舗までフランチャイズ展開を拡大しています。
ローストビーフ丼専門店:見た目のインパクトを活かした投稿が拡散され、RED内で「ローストビーフ丼」と検索した際の関連投稿数が大幅に増加しました。「ローストビーフ丼といえばこの店舗」という認知形成に成功しています。
浅草のクレープ店:エリアワード「浅草」を投稿に組み込む設計で運用し、施策開始1ヶ月で3桁いいねを獲得しました。初月だけで合計再生回数8万回を記録しました。
これらの成功事例に共通するのは、インフルエンサーのフォロワー数だけでなく、「来店導線の設計」や「検索されやすいキーワードの組み込み」まで戦略的に行っている点です。
飲食店での集客を成功させるうえで気をつけるべきこと

インバウンドでの集客を成功させるには、さまざまな環境整備が必要になることから、時間も費用もかかります。
すべての環境を100%に整えることは理想ではありますが、スケジュールや予算の都合で難しい場合がほとんどでしょう。
優先順位を付けて、必要なタイミングに合わせて着実に対応していきましょう。
外国人とのファーストコンタクトとなる、インターネット上での集客においては、いかに外国人目線での魅力的なコンテンツを発信できるかがカギを握ります。
インバウンド客が投稿した動画やSNSなどをヒントに、訪日外国人はどんな点に満足度が高いのか、もしくは低いと感じているのかをチェックしてみましょう。
代表・陳逸翔の所感
飲食店の中国SNSマーケティングで私がいつもお伝えしているのは、「SNSはあくまで集客であり、お店の土台があって初めて力を発揮する」ということです。立地、味、お店の評価。この3つが大前提にあり、もともと成功するポテンシャルがあるお店が、SNSによってさらに伸びる。このイメージが一番近いと思います。
弊社でご支援させていただいたすき焼き 極、肉匠ふるさと、焼肉ぽんがなどの飲食店でも、どこも中国向けマーケティングでしっかり成果が出ています。
飲食店で私たちが一番おすすめしているのが、マイクロインフルエンサーマーケティングです。費用対効果が合わないため、大型インフルエンサーを1人呼んで終わり、というやり方はほとんどやりません。だから私たちは、マイクロインフルエンサーへお食事をご提供し、その代わりにREDに投稿していただくという形を基本にしています。
さらに、よくお伝えしているのが「100投稿理論」です。一つのブランドについて、まずは100件以上の投稿を作ることを目標にしています。「渋谷 焼肉」と検索した時に、自社の投稿が何十件も表示される。この状態を作ることが重要なんです。1投稿だけでは効果は薄くても、それが100件、200件と積み重なることで、「口コミが多い人気店」という印象が自然に作られていきます。
ただし、お店の立地や味、接客が伴っていなければ逆効果にもなります。良い商品・良いサービスがあって初めて、中国SNSマーケティングは力を発揮すると、私は考えています。
まとめ
インバウンドでの集客は、動画やSNS、ブログなどのインターネットを使った方法が主流です。飲食業界も例外ではなく、効果が高い手段といえます。
集客施策を検討する前に、2025年のインバウンド市場の動向も鑑みたうえで、ターゲットとする国や地域を決めるのがファーストステップです。中でも中国は旅行消費額・訪日者数ともに全国籍中トップクラスであり、REDを中心としたSNS施策による成功事例も数多く生まれています。
中国人向けのSNSを駆使した効果的なインバウンド集客をご検討の飲食店は、ぜひ篤月へお気軽にご相談ください。


